『現代日本画』とは
『現代日本画』とは、世界の近代美術の広がりとともに、それまでの装飾的であった日本画の伝統画法に新たな技法を取り入れて表現した、新しい日本画の事である。
油絵は、絵具となる顔料をオイルで練って描くが、日本画は、顔料を「膠」(にかわ)で練って絵具として使用する。
「膠」は顔料の細かな粒子ひと粒ひと粒に被膜を張り、顔料どうしをくっつける。
油絵は布(カンバス)・板に描き、日本画は日本古来の製法による紙(和紙)に描く。
オリジナル『書』について
「書」は、日本の伝統文化であり、ことばを書いて表現するアートである。
「書」の基本(様式・形式)は、縦書き。右から左へと、行をすすめる。
縦書きにすることは「天と地」を意識することであり、「天と地」を意識するとは、宇宙を感じるのと同じ意味をもつ。
そして、宇宙を感じるという精神は、東洋の文化を独自なものとする。
墨で書いた文字以外の余白(空間)を、いかに美しく表現するかが「書」をする醍醐味であり、その精神は、「禅」と通ずる。
無限の表現
「書」は筆の毛の種類・剛柔・墨や紙の種類によっても作品の表現に変化がでる。
また、一本の線においても細い線・太い線・にじみ(NIJIMI)・かすれ(KASURE)の表現が自由自在にでき無限の表現を可能にする。
無限の表現を可能にするには
・画面に比例均衡(バランス)の制約
・筆触(筆先と神の接触)の生理的・心理的統制(コントロール)
・感覚的意識伝達としての知的デフォルマション
これを基礎として、その上に成り立つものである。
なぜ、アルファベットを縦書きに?
日本語を解さない人々に「書」を感じでもらうには、どうすればよいのか?
そこで、本来横書きであるアルファベットを「書」の基本である縦書きに表現することに挑戦しました。
言葉を原語のままで書いた作品は、ポルトガル(2007・2010年)・フランス(2009・2012年)の人々に大きな驚きと興味を持って迎えられました。
展覧会場で子供たちが詩を競うように声を出して読み、大人達は作品を前に書かれたシャンソンを合唱して『ブラボウ!!』と言い合って喜んでいました。
「書」を読めることにより、墨や筆にも興味を抱き、「書」という言葉や、「書」は縦書きで右から左へ読むと知って楽しむ人々に接し、これからも世界の国々の言葉で、「書」の作品を作り続けたいと思う。